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「カフェオレ・ライター〜誰も書かなかった映画レビュー〜」は、映画、漫画、ゲームから、管理人の私生活に至るまで、独自の視点で紹介するレビューサイトです。(基本的にネタバレ有)

カフェオレ・ライター

ユー・ガット・メール レビュー

※完全ネタバレ



今回レビューするのは、「ユー・ガット・メール」。

内容を簡単に説明すると、たまたま偶然ネットで知り合った女性と会ってみたらメグ・ライアンだったという、ネゲット(ネットで彼女をゲット)しようとがんばる世の男性たちにとってまさに夢のような作品です。

そんなの、ある日突然12人の妹ができたというぐらいありえない話だと思いますが……。

ともあれ、今回はこのリアリティゼロの物語を見ていきましょう。



まず最初の主人公はメグ・ライアン演じるキャスリーン・ケリー。レトロな物が大好きなフリーライターの恋人フランクと同棲しています。

キャスリーン自身は母から受け継いだ書店を経営していて、店はニューヨークでは評判の児童書の老舗です。

そんなキャスリーンが最近ハマっているのが、チャットで知り合った男性とのメール交換。

結論から言っちゃうと、このメル友が実はトム・ハンクス演じるジョー・フォックスなわけですが、もちろん今はお互い何も知りません。

ちなみにジョー・フォックスのハンドルネームは「NY152」です。それってハンドルネームなんでしょうか。

で、このジョー・フォックスもまた彼女と同棲しています。二人とも恋人持ちなわけですね。もちろんメル友がいることは恋人には内緒です。


さて、設定をおさらいしておきましょう。

キャスリーンは先に述べた通り、小さな老舗書店の店長。ジョー・フォックスは大会社の御曹司です。

そして、ジョー・フォックスは、企業戦略の一環として、キャスリーンの書店のすぐ近くを買収して超大型書店を開店。

小さい書店に対するものすごい嫌がらせです。フォックス会社は、こうしたあこぎなやり方で評判はあまりよろしくありません。


……ひょんなことから、ジョーとキャスリーンはライバル店のオーナー同士として知り合うことに。

ここで注意すべきなのは、二人はお互いを例のメル友だとはまだ知らないという点です。

当然、客を奪われたキャスリーンはジョーに猛反発。しかし、ジョーは「これはビジネスだ」といってケロッとした顔をしています。

ここまででわかったこと……ジョーは鬼です。

当たり前ですが、二人の仲は修復不可能なまでに壊れます。



さて、キャスリーンの恋人のフランクですが、彼はアンティークが大好きで、フォックス書店が開店してキャスリーンが大変な時にも、古いタイプライターを手に入れて喜んでいました。

タイプライターのタイピング音が銃声みたいだ、とマニアックな部分に喜ぶフランク。本物のオタクです。

それにしても、パソコンの時代にタイプライターとは……。しかも3台です。

フランクの言い訳によると予備らしいのですが、これはアレですね。同じCDをいくつも買って「1枚は保存用で1枚は布教用で……」とほざくモーオタ(僕の友人)と同じです。

……まぁ僕も昔、萩尾望都の漫画を3冊ずつ買っていたので人のことは言えません。

しかもフランクは、タイプライターのことになると、キャスリーン無視で語りまくります。典型的なダメオタです。

キャスリーン……ダメ男に引っかかるタイプでしょうか。

そういえば、ジョーも性格がダメなので、キャスリーンだめんず説はかなり濃厚です。

ちなみにジョーにも恋人がいますが、こちらも相当嫌な女。何もここまであからさまにダメな恋人を用意しなくても……と思ってしまいますが、気まずくない別れを演出するためには仕方なかったのかもしれませんね。


そうしている間にも、キャスリーンとジョーはメル友として仲を深めていきます。

しかし現実では反目し合っているという、超微妙な関係。

そんなある日、キャスリーンは、メールでジョーに「フォックス書店に客が取られそう」ということについて相談します。

もちろん、お互いの個人的な事情については詮索しないというルールでメールしているので、具体的な名前なんかは出していません。もし出してしまったらその時点でこの映画終わりますしね。

相談に対してジョーは「戦え! 徹底的に戦え!」とアドバイスします。

知らないからとはいえ、自分が潰そうとしている相手に「戦え」とは……。こういうの敵に塩を送るって言うんでしたっけ。


そのアドバイスに従い、キャスリーンは恋人に頼んで自分の経営する書店の記事を雑誌に書いてもらったり、テレビに出演したりして、「街の小さな書店を潰すな」というデモ活動を始めます。

「戦え」と助言した張本人のジョーも、まさかここまで徹底的にやられるとは思っていなかったでしょう。


ところで、メル友としてのキャスリーンとジョーにも動きが出てきました。

とうとうジョーが「会おう」と告げたのです。

顔の知らない相手と会うことにキャスリーンは戸惑いを隠せませんでしたが、最後には納得して、二人は会ってみることに。待ち合わせの場所は小さなカフェ。

しかし、いざというときになると、やはりびびるのは男の方です。

待ち合わせ場所に一人で行く勇気がなく、友達を連れて行くジョー。なんて情けないやつでしょうか。

道すがら、「きっとブスだぜ」だの「キーキー声だったらどうする?」だのと友達に煽られて、ジョーはますます混乱します。

最後には、とうとう、「何で会うハメになった?」とまで言い出す始末。

……いやそれはお前が「会おう」って言ったからだろ。


そしてジョーの妄想はさらにエスカレート。

「彼女はきっと最高の女性だ」とか、「飛びついて結婚する価値がある」とか言い出します。

こいつ……前から思ってましたが、かなり危ないやつです。こういうやつがきっとネットストーカーになるんだと思います。

さらにチキンのジョーは、店内をのぞく勇気すら持てず、一緒にいた友人に「見てきてくれよ」と頼み込みます。本当に30代の大人なんでしょうか? 情けなさ爆発です。

友人が店内をのぞくと、そこにいたのは当たり前ですがキャスリーンでした。

キャスリーンとジョーの確執を知る友人は、戸惑いながらもジョーに「かなりの美人だ」と告げます。

すると興奮したジョーは、「やっぱり! 思った通りだ!」と叫びながら、店の手すりに飛びついてガンガンに揺らし始めました。

これはヤバイです。相当イカれています。まったく……こういうやつがいるからネットが危険だとか思われるんですよね!


さらに、友人から実は中で待っているのがキャスリーンだと聞いてショックを受けたジョーは、「ほっとくさ」と言い捨てて、帰り始めます。

最低です。自分から誘っておいて相手を見た途端手のひらを返す男、ジョー。こんな最低男は見たことありません。


……と、思ったんですが、やっぱり多少の罪悪感はあったのか、一応店内に入るジョー。

キャスリーンは、待ち合わせしているメル友がジョーだなんて知りませんから、ものすごい勢いで嫌悪感をあらわにします。

一方、ジョーはメル友がキャスリーンだと知ってしまいました。

この待ち合わせでは結局ジョーは正体を明かしません。それはメリットにならないと判断したのでしょう。

いよいよネットストーカーの本領発揮です。


というか、メル友が実は嫌いな相手だとわかった時点でメールもやめてしまいそうなものですが、ジョーはそれはしません。

それどころか、さらにメールでキャスリーンとの仲を深めていきます。

それはやっぱりアレですか。相手がメグ・ライアンだからですか。やはり女は顔なんですか。


しかし、現実世界でのジョーは容赦のないビジネスマンです。

メールで優しい言葉をかけつつ、書店経営ではビシビシとキャスリーンにプレッシャーをかけ、ついにキャスリーンの店を潰してしまいます。

もうほんと……最低ですね。

そうこうしている間に、キャスリーンは恋人と別れてしまいます。

店は潰れるは、恋人にはフラれるは、もう散々です。

何気にジョーも恋人と別れてますが、まぁそれはどうでもいい。


閉店して数日、心労で風邪を引いてしまったキャスリーンの自宅を、ジョーが訪ねてきます。

自分で人生破滅させておいて、どのツラ下げて現れやがるんだって感じです。

あまりの鉄面皮ぶりに、キャスリーンも呆れ顔です。

というか風邪引いてるというのに……迷惑すぎ。


ここで、これまでとは打って変わってキャスリーンに親切にするジョー。

これはまさか……飴とムチ作戦でしょうか?

この男、ネットオタクの癖に女の扱いを知ってやがります。

精神的に参っているところを見計らって優しい言葉をかけられれば、そりゃホロリときますよね。まぁ精神的に参らせたのはジョーなんですけど。

そして「用件は何?」と尋ねるキャスリーンに、

「君と友達になりたい」

と、いけしゃあしゃあと言い放つジョー。なんという傲慢な男でしょう。こんなだからネットの男が敬遠されるんですよ!(2回目)


さらに、キャスリーンからメル友であるNY152、つまり自分の話を聞き出し、「彼に会うべきだ」とアドバイスします。

恐るべしジョー。

彼の頭に描かれた計画に沿って、着々と準備が進行していっています。

計画というのはもちろんキャスリーンを手に入れることです。

もしや……キャスリーンの店を潰したときから、こうなることを予測していたのでしょうか?


店が潰れる → キャスリーンが精神的に参る → メールと現実の両方で優しい言葉をかける → 最終的に「メールの人は僕でしたー!」 → キャスリーンオチる


すごい完全犯罪です。


やってることはどう考えてもストーキングなのですが、それを相手に気づかせないテクニック。さすがとしか言いようがありません。これほどまでに完璧なストーカーは見たことがありません。

この後、徐々に二人は親交を深めていきます。

まだ見ぬメル友(実はジョー)の話で盛り上がる二人。

キャスリーンが一番気になっているのは、メル友の結婚歴と、前科の有無らしいです。

残念ながら前科はたっぷりありますよ、キャスリーンさん!

そして、いよいよ、二人が会う日がやってきました。

待ち合わせの直前になって、ジョーは「僕の小さな罪は許せない?」と言い出します。

「小さな罪」とは、キャスリーンの店を潰したことです。

なんてことでしょう。ジョーにとってはキャスリーンの店を閉店に追い込んだことなんて、ほんの些細な出来事にすぎなかったのです。

ま、そりゃ本音はそうかもしれませんが、何もこんなタイミングで言わなくても……。さすがにキャスリーンも言葉を失ってしまいます。


その後、ジョーと別れてメル友との待ち合わせ場所へ向かうキャスリーン。

待つことしばらく……なんともロマンチックなBGMと共に、ついにメル友であるNY152こと、ジョーが現れます。

これは、ある意味恐怖の瞬間では……。

僕としては、ここではジョーズのテーマかキルビルのテーマを流してほしかったです。

すべてを悟るキャスリーン。

今まで素敵な人だと信じてメールしていた相手が、実は自分の人生をめちゃくちゃにした男……!

精神的に弱い人なら発狂してもおかしくない場面です。

しかしキャスリーンは、「あなたでよかった」と言い出します。

信じられません。このラストシーンだけは納得いきません。よく考えてくださいよ?

メル友は全部知っていたにも関わらず自分をだまし続けていて、しかも正体は敵だった男ですよ。

「あなたでよかった」ってそんなバカな!

なぜでしょう。月島雫といい、キャスリーンといい、なぜこうも簡単にストーカーの術中にはまってしまうのでしょう。

しかしまぁこういう結末を迎えてしまったので仕方ありません。このラストを見てどれだけのネットストーカーが勇気付けられたかわかりませんが。

しかし、全国のネゲットを夢見る男性諸君に、これだけは言っておきたい。

今、あなたがメールしている相手、それは少なくともメグ・ライアンではないぞ、と。




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