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「カフェオレ・ライター〜誰も書かなかった映画レビュー〜」は、映画、漫画、ゲームから、管理人の私生活に至るまで、独自の視点で紹介するレビューサイトです。(基本的にネタバレ有)

トロイ レビュー

※完全ネタバレ


2004年を代表するハリウッド超大作、それが「トロイ」です。

言うまでもなくトロイ戦争をモチーフにして作られた古代ギリシャの物語で、今や伝説にもなっている勇者アキレスを、ブラッド・ピットが見事に演じています。

この映画、普通に観ても面白いのですが、きっと観た人なら誰でも思うことがあると思うので、今回は僕がそいつを代弁してレビューしてみたいと思います。



さて、まずは三人の主人公を紹介しましょう。


不死身と恐れられる、ギリシャの英雄アキレス。

トロイの王子にして最強の戦士ヘクトル。

そして同じくトロイの王子、パリス。


彼らが、この物語のメインキャラクターたちです。

この中で注目すべきはパリスです。

では物語を見ていきましょう。


スパルタの王、メネラオスは、長年の戦争に嫌気が差し、宿敵であるトロイとの和平を考えていました。

そこでメネラオスは、トロイの王子であるヘクトルとパリスの兄弟をスパルタに招き、和平を祝って祝宴を開きます。

ところで、このメネラオスはただのジジイなのですが、彼の妻がとてつもない美人です。

そこに目をつけたのは王子パリス。

なんと、和平の相手であるスパルタの后を誘惑し、本国トロイに駆け落ちします。

三人の主人公の一人である王子パリス。早くもアホっぷりを見せ付けてくれます。

パリスは、帰りの船でヘクトルに、

「僕を愛してる? どんな敵からも守ってくれますか?」と、いきなり懇願します。

そしてヘクトルに、「10歳の時、お前は父上の馬を盗んでそう言った。今度は何をした?」と言われてしまいます。こいつ…子供時代から盗癖があったようです。

しかも自分でケリをつけるならともかく、人の物を盗んでおいて、最初から兄頼みです。ほんと、最低ですね。


パリスは、同盟国の后を連れてきてしまった事実を兄に告げます。

当然激怒する兄ヘクトル。

「愚か者め! 苦労の末、成し遂げた和平だぞ!」

とキレる兄に、パリスは、

「愛したんです」

と、言い訳になっていない言い訳をかまします。

万引きして捕まり、「ほしかったんです」と開き直る中学生よりたちが悪いですね。

このときのパリスの目がマジすぎて怖いです。どうやら真剣に脳が病んでいらっしゃるようです。

しかも兄に「どうせ遊びだろ」と言われます。どうやらパリス君、街から街へと渡り歩く道すがら、商人の女房や巫女を口説き回っていたようです。

ただのナンパ野郎かよ……!

ナンパごときで人々の夢であった平和をぶち壊したパリス。この時点で極刑決定ですよ。


一方、盗られた側のメネラオスはもっと激怒。

当たり前です。例えるなら、ケンカした友達の家に仲直りに行ったら、たまたま欲しかったゲームソフトがあったので持って帰ってみました、という感じです。盗られたほうはたまったもんじゃありません。

ということで、苦労してトロイの王が成し遂げた和平は、パリスのバカ丸出しの行動で台無し。メネラオスは和平を撤回し、トロイに攻め込むことを決意します。

戦争にあたって、メネラオスはギリシャの大ボスにして実の兄であるアガメムノンを頼ります。

ギリシャとスパルタの連合軍が、今まさにトロイを滅ぼさんと結集したわけです。まさにエーゲ海最強の連合軍! ……結集させたのはパリスですけど。

いよいよ主人公であるアキレスの登場です。

ギリシャ軍始まって以来の勇者であるアキレスは、アガメムノンをあまりよく思っていません。

しかし、王のためではなくギリシャのためということで説得に応じ、ギリシャ軍に加わります。

トロイの地へ迫るギリシャの大船団。

しかし、トロイは古来より難攻不落と名高い城壁を持っています。いかにギリシャ軍とはいえ、そう簡単に落とせるものではありません。

戦争は次第に長引き始めます。

ここで、さすがのアホ王子パリスも責任を感じ始めたのか、こんなことを言い出します。

これは国ではなく2人の男の戦いです。僕のせいで民が死ぬなんて…。明日、メネラオスに一騎討ちで挑戦します。勝者がヘレンを

……言っていることは立派かもしれませんが、どうも論点が根本的にズレています。

まず、王妃を寝取ったらそりゃ国同士の戦いにもなりますし、一騎討ちをして勝ったほうが…とか、勝手に決めて一人で盛り上がっています。

というか、例えれば「お前のゲーム盗んで悪かった……俺と勝負だ! 勝ったほうがこのゲームを手に入れる!」って言ってるわけですよね。自分勝手にもほどがあります。

いいですかパリス君。

盗んだら、まず品物を返し、謝罪して、時には賠償するのが筋道ってもんです。

なんで盗まれた方がそんなリスクを背負わなければならないんですか。

とはいえ、自分のロマンチックな思いつきに酔っているパリス君はもう止まりません。

息子に甘い父親は、「トロイの剣」と呼ばれる家宝の剣をパリスに与えます。なんかパリス君、どんどん後に引けなくなってきてますが大丈夫でしょうか。だいたい、こいつは最初、思い切り兄貴に頼るつもりだったんですよ。

直前になってびびりそうな気配ムンムンですが……。


そしていよいよ決戦の朝が訪れました。

メネラオスに、「人の妻と夜逃げしやがって!」と怒鳴られると、「逃げたのは昼間だ」と言い返すパリス。……子供かよ。


さらに、パリスはメネラオスに「一対一で戦おう。勝者がヘレンを。それで終わりにしよう」と持ちかけます。びびりまくっているのはすごくわかりますが、兄貴が横にいるため今さら嫌だとは言い出せなかったようです。

このどうしようもなく勝手な申し出を、メネラオスはあっさりと承諾します。

まぁパリスは見るからに弱そうですから、間男を殺せるチャンスを逃したくなかったんでしょうね。

そしていよいよ二人の戦いが始まります。

歴戦のつわものであるメネラオスに対し、人を殺したこともないパリス。実力の差は歴然です。

明らかに押されているパリスと、余裕の笑みさえ浮かべるメネラオス。

殴られ、太ももを斬られ、パリスは殺されこそしていないものの、ボコボコにされます。

挑むぐらいだからそれなりの自信があるのかと思ったら、まったく根拠の無い強がりだったようです。

そして、剣と盾を弾き飛ばされ、いよいよ殺されるというときになって、

パリスは突然、戦いを見守っている兄貴の方へ逃げ出し、その足にすがりつきます。

最悪です。最悪の腰抜けです。

そりゃメネラオスに「恥知らずめ!」とか、「こんなやつのためにワシを捨てたのか、ヘレン」とか好き放題言われますよ。

執拗にパリスを殺そうとするメネラオスに、たまらずヘクトルが剣を突き立てます。一騎討ちだったはずが、予想外の展開でメネラオスが死に、一緒に戦場へきていた兄アガメムノンは激昂。

ギリシャの全軍が動き出し、今ここにギリシャVSトロイの戦争が始まったのです。

……「僕のために民が死ぬなんてダメだ」とぬかしていたパリスのせいで。



戦いでは、ギリシャの勇者アキレスと、トロイの英雄ヘクトルが大活躍。

お互い一歩も譲らない戦いぶりを見せます。

一方のパリスはあの一騎討ち以来、城にこもって外に出てきません。本当に情けないやつです。

ところが、ヘクトルがアキレスのいとこを殺してしまったことから、アキレスがぶち切れます。ヘクトルとの一騎討ちを申し込むアキレス。

アキレスの実力を感じながらも、名誉と国のためにそれを受けるヘクトル。

立派です。その前にヘタレた一騎討ちを見せられたばかりなので、泣けてくるほど立派に思えてきます。

ギリシャ最強VSトロイ最強の戦いは、誰も邪魔できないすさまじい展開を見せます。

ちなみに、トロイ最弱のパリスは城壁の上から戦いを普通に見物していました。

……死闘は、アキレスの勝利に終わり、ヘクトルは無残な姿になってギリシャへと運ばれていきました。ヘクトルはパリスと違って助けを求めたりしませんでした。


さて、いよいよ物語りもクライマックス。

そう、トロイといえば有名なアレがありますよね。

トロイの木馬です。

ネットやってる方には、ウイルスの名前として馴染み深いと思いますが、これはトロイ戦争が語源なんですね。多分”内部から破壊する”という意味があるのでしょう。

どういうものかというと、しぶとく戦うトロイに業を煮やしたギリシャ軍がとった策略なのです。

最初に説明した通り、トロイの城壁は強固です。そこで、ギリシャ軍は一旦撤退したように見せかけて、海岸にこの巨大な木馬を残していくのです。

実はこの木馬の中には、アキレスを始めとしたギリシャの戦士たちが潜んでいるわけなのですが……。


ギリシャ軍が撤退したという報告を受け、海岸に様子を見にきたトロイ王や家臣、そしてパリスの目の前にそびえ立つ巨大な木馬。

これを、神への捧げ物だと判断した家臣は、戦利品としてトロイへ持って帰ることを王に進言します。

一方、何か不穏なものを感じたのか、パリスは「焼きましょう」と提案。珍しく冴えています。

しかし、パリスの言うことには誰も耳を貸しません。多分、同じことを、今は亡きヘクトルが言ったなら、もう少し皆も熟慮したと思うのですが……国を戦争に巻き込んだA級戦犯は厄介者扱いされているようです。

戦争の勝利を祝って、トロイ城に運ばれてきた木馬を囲み、熱狂する群集たち。

それを見たパリスは、「王子が死んだのも忘れて……」と苦い顔をします。

でもヘクトルが死んだのはお前のせいだけどね。


夜になり、トロイの木馬に隠れていたギリシャ軍が次々と現れます。

難攻不落を誇っていたトロイの城門を内部から開け、外で密かに待っていたギリシャ軍本体を呼び込みます。

こうなるともはやトロイの城壁も脆いもの。

奇襲をかけられたショックも手伝ってか、トロイ軍は完全に崩壊してしまいます。

夜のトロイ城が、燃え、奪われ、殺され、まさに阿鼻叫喚の地獄絵図が展開されます。

当然、その中心にいるのはアキレス。

今回触れなかったのですが、アキレスは捕虜となったトロイの皇女と恋に落ちていました。

このままではギリシャ軍に皇女は蹂躙されてしまいます。

必死で恋人を探すアキレス。「恋人のために」とか言いながら勝負から逃げ出したパリスより、よっぽど愛情の面でも優れています。

あっ、パリスにとりえがなくなった!


そのパリス、逃げ出す女たちに、今度こそかっこいいところを見せようと、

「僕は残って戦う!」と言い出します。もういいよお前。

まぁ戦うっていっても弓ですけどね。剣での白兵戦をするような度胸はこいつにはありません。


一方のアキレスは、城の奥でついに恋人を見つけます。

皇女を抱き寄せるアキレス。

……と、そこへ「戦う宣言」をしたパリスがやってきます。

敵であるアキレスを見つけ、弓を引き絞るパリス。

そして放たれた弓は、油断していたアキレスのかかとを貫きます。

ちなみにかかとのことを「アキレス腱」と言いますが、これは神の祝福を受けた英雄アキレスの、唯一弱点だった場所だったため、今日でもそう呼ばれています(詳しく知りたい人はギリシャ神話を読もう!)。


かかとを貫かれ、苦悶の表情を浮かべるアキレス。

それにしてもパリス、なんて間の悪い男でしょう。するべきことはせず、しなくていいことばかりしやがります。

その後も、距離があるのをいいことに矢を撃ちまくり、ついに不死身と言われたアキレスを倒したパリスは、崩れ落ちるトロイ城を後にします。


こうして、トロイ戦争は終わりを告げたのでした。

死して母国を守ったヘクトル。

命を賭して愛する人を守ったアキレス。

母国を滅亡させ、恋人を賭けた戦いから逃げ出したパリス。


……映画のラストで、ギリシャの軍師オデッセウスのモノローグが流れます。


「私の物語が語られるなら――”巨人たちと歩んだ”と伝えてほしい。人は生まれては死んでいくが、彼らの名は不滅だ。

伝えてほしい。ヘクトルと同じ時代に生きたことを。

そして、アキレスと同じ時代に生きたことを…」





パリスの名前は呼ばれませんでした。





生きるべき者が死に、死ぬべき者が生き残る。世の中ってそういうものかもしれませんネ☆(何かを悟った顔で)



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