【2014年11月5日】
ある日、同じ電車にイケメン二人組が乗ってきた
僕はいったいどこで間違ってしまったのだろうか。
もしかしたら最初から? それとも途中から?
誰か、教えてほしい――。
運命の歯車に翻弄された先日の出来事について書いていきます。
その日、僕は地下鉄に乗って移動していました。
東京の地下鉄は一つのシートが7人がけになっており、この日はあまり混んでなかったのでまだ余裕がありました。
このとき、前から見るとこんな感じの配置で座っていました。
●◯僕◯●●●
という感じです。
僕の両隣が空いているのは、
決して僕から異臭が漂っていたわけではなく、たまたまその前の駅で隣の人が降りたからです。
左右が空いた状態で電車が出発し、次の駅に停車しました。
すると……。
扉が開き、
二人のイケメンが入ってきました。
肩を寄せあって、
仲睦まじい雰囲気です。
(これは……)
二人組ということは、当然シートに座る場合も隣同士が望ましいでしょう。
そこで僕は、席を一つ移動して、左側に詰めて座り直しました。
空いた席にイケメン二人組が座るだろうと思ったのです。
ところが……。
ぜんぜん座ろうとしないイケメン二人。
それどころか、会話もなく、
お互いスマホを取り出して自分の世界に入ってしまったではないですか。
そう、僕が勝手に勘違いしただけで、
二人は知り合いでもなんでもなかったのです。
その割にかなり近い距離感で並んで入ってきたし、イケメン同士だし、仲良しかなって思うでしょうよ!(イケメンの友だちはイケメン説)
この僕の勘違いを誰が責められるでしょうか。
しかも、イケメン二人組、別に知り合いじゃなくても僕の横が空いてるから座ればいいのに、座らないんですよね。
待てよ、そうなると……。
さっきの移動の意味がなくなってしまった……
単に隣の人に近寄っただけの男になってしまった!
隣の人に「なんだこいつ」って思われていないだろうか……。
不安になった僕は、反射的に
余計な行動に出てしまいました。
また元の席に戻ってしまったのです。
移動してしまってから、ハッと気づきました。
……いや、ちょっと待て。
我ながら今の移動は不自然すぎるぞ。
イケメン二人組に対する勘違いは
すべて僕の脳内で起きていたことなので、それ以外の人からすると僕が
席を移動してまた戻る意味がわかりません。
特に左端の人からすれば、
突然横にズレてきた男がまたすぐに元の位置に戻ったわけで、不自然極まりない行動です。
「え? 俺臭う?」とか誤解させたらどうしよう……。
どうする?
どうする?
いっそ、もう一度隣に移動するか?
「あなたは臭くないですよー」ということを暗に示すために……。
いやいや! いくらなんでもそれはおかしいだろ!
完全に財布狙ってるよこれ!
うーん、それなら……。
むしろ逆に移動してみる? 「移動する方向を間違えたんですよ〜」みたいな雰囲気で。
……いやいや、それは
さらに不自然だし、そもそも移動する必然性まったくないし!
だいたい、この3人はたぶん知り合い同士なんだよね。さっきから小声で話してるのがなんとなく聞こえるし。
そこに僕が接近していくの明らかに変でしょ!
困った……八方ふさがりじゃないか。どうすればいいのか……。
そういえば左端、どんな感じの人なのか、まったく見てなかったな……。
おそるおそる横を見てみると、
ぎゃー! 同じタイミングでこっちをチラッと見てきたー! ちょっと目が合ってしまったー! やはり隣の男がバタバタ移動してると「なんだこいつ」って気になるのか。
しかも、この人もかなりのイケメンじゃないか! 同じ電車内でこんなイケメン率高いことなんてそうそうないぞ!
まぁでも、これくらいイケメンだと
「俺臭う?」なんて思う可能性は微塵もなさそうで、それだけは良かった。あれ、でもそうすると、さっきの僕の移動はまるで
イケメンの隣に行きたかったみたいじゃない?
いや、そんなことはどうでもよくて、結局八方ふさがりな状況には変わらず……。
……で、最終的にどうしたかというと、
本来降りる予定ではなかった
次の駅で降りました。
そうです。逃げたのです。
本当は降りる予定の駅はもっと先だったのですが、勝手にいたたまれなくなってリセットしたのです。
「最初からここで降りる予定でしたよ」みたいな顔で。
……っていう出来事がありまして、結局のところ、どうするのが正解だったのか。僕はどこから間違えたのか。
妹に聞いてみました。
「……というわけなのよ。俺はどこで間違えたのだろうか。そもそもイケメン二人組を知り合い同士だと勘違いしたところか」
「それは仕方ない」
「じゃあ最初に俺が席を移動したことか」
「いや、それもこの状況だと仕方ない。っていうか、左右が空いてて二人入ってきたら避けるよな」
「ということは……」
「一度移動した後に、元の席に戻ってしまったのが間違いだったな。気にせずそのまま座り続けて問題なかった」
「やはりそうか!」
「そもそもの話をすると、前の駅で左右の人が降りたタイミングで自然な感じで寄っておくべきだったな。そのタイミングならおかしくないし」
「なるほど……」
「ていうか」
「うん」
「ぶっちゃけ、最初から最後まで
ぜんぶアンタ一人の考えすぎだから気にするな。誰もそこまで見てないし気にしてないから」
「……」
……ということで、
根本から否定されてしまいましたが、とりあえず僕の体験が何かの参考になれば幸いです(……ならないか)。
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