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マルコ【2009年7月26日】
NYタイムズに「抱き枕の人」が特集されていたので翻訳してみた
アメリカの伝統ある新聞紙「ニューヨークタイムズ」。
そのネット版の一面にとある日本人が特集され、話題を集めました。
それ自体は別に今に始まったことじゃないのですが、特集された日本人というのが、この人なんですよね……。
で、紙面に載っていた写真がこれ。
……いったいどんな取り上げられ方をしたのか非常に気になるので、NYタイムズの該当記事を妹に丸投げして翻訳してもらいました。いや、最初は自分でやろうと思ったんだけど、その、僕の英語力は……ね?
ちなみに該当記事はこちらなんですが、どうやら2日も経たない間に記事自体がログインしないと見られない場所に保管されてしまったようですので、とりあえず訳文だけでご了承ください。原文はどこかに行ってしまったので頑張って発掘してみます。
なお、記事自体は非常に長いものでしたが、後半は話がちょっとズレていくので、最初の1ページ目だけを訳しました。あと訳のミスはあると思う(妹談)ので、参考程度に考えていただければと思います。
記事のタイトルは、「Love in 2-D」。訳すなら「二次元に恋して」とかそんな感じでしょうか。……タイトルからしてすでに不穏な空気が漂いまくっていますね……。
ではどうぞ。
兄さん(訳注:抱き枕を抱いている男性)は音夢たん(訳注:抱き枕のキャラクター)に本気で恋するつもりはなかった。 彼らの初めての出会いは、兄さんのゲーム友達が彼を無理やり東京の漫画本のファンの集まりに連れて行った時だった。 目的もなく混み合ったエキシビジョン・ホールの中を歩きまわっていた兄さんは、突然、音夢たんの輝く青い瞳に見つめられていることに気づいた。 ――― 最初、彼らは単なる友人だった。 数か月後、兄さんは運転免許を取得し、音夢たんをドライブに誘った。使い古したトヨタの車に乗って、彼らは家からそう遠くないビーチへと向かった(兄さんは、東京の郊外にある家を両親と一緒に使っていた)。 それが、彼らにとって初めてのドライブだった。 彼らは車の中で寝たり、あるいはお金を節約するために友達の家に泊まりながら、何百マイルも西にある京都、大阪、奈良へ旅行して、お互いを知っていった。 彼らは桜の木の下で写真を撮り、メリーゴーランドで子供のようにはしゃぎ、街角でヌードルを食べた。出会ってから3年が過ぎた今、2人は離れられなくなっていた。 「私は彼女のおかげで、たくさんのびっくりするような経験をすることができた」と、音夢たんの足を熱心にこすりあわせながら、兄さんは私に語った。 「彼女は私の人生を変えたのです」 ――― 音夢たんには、本当の足があるわけではない。 彼女は、ダカーポと呼ばれるPCゲームのXレートバージョンのキャラクターであり、その2D描写がカバーにプリントされたクッションなのだ。 ゲームの中で音夢は、主人公の騒々しい妹である。 彼女は主人公のことを「兄さん」または「big brother」と呼ぶ(訳注:ここはどういうことかちょっとわかりません)。 ニックネームである“兄さん”は、彼が音夢と出会ったときに彼自身が名付けたものだ。 私が東京郊外の八王子で、彼らの大好きな食べ放題のサラダバーでのランチに参加したときのことだ。どれくらい兄さんが彼女を敬愛しているかを見せるために、彼は接尾辞「たん」を使いながら、ボディークッション(ピロー)ガールフレンドに話しかけ、この新しいニックネームでのみ彼女を呼ぶようにと主張した。 音夢たんはたぶん10歳か12歳で、小さな青いビキニを着て、金色のリボンを頭につけている。 兄さんは彼女が実在していないことを知っている。しかし彼はそれでも彼女を愛することを止められない。 まるでその質問にショックを受けたみたいに彼は目を開いて、「もちろん彼女は僕のガールフレンドです」と言った。 「僕は彼女に対して、本当の(実在する)気持ちがあります」 37歳で兄さんはすでに禿げかかり、彼の残りの髪は白髪混じりになった。 フォーク一杯分のレタスとオクラをムシャムシャ食べながら「僕は糖尿病のために肉を食べられません」と彼は言った。 「僕は単に運のない男なんです」 兄さんと私が話している間、音夢たんは控えめに彼女のカボチャスープを見つめていた。 この日は祝祭日で、レストランは若い家族で満員だった。 数人の母親が好奇心の強い視線を音夢たんに向けていたが、大部分は彼女に気づいていないように見えた。 つい先頃、兄さんは私に、本当のガールフレンドがいたのだけど、彼女は自分を捨てたのだと話した。 ――― 兄さんは最初よりももっと人前を気にするようになったにも関わらず、彼が行くほとんどの場所に音夢たんを連れて行く。 「一部の人たちはこれがおかしいことだとわかりません。そしてそれはまた部屋の多くを」(訳注:よくわかりません)と彼は言った。 兄さんは、慎み深い男性が女性を扱うように彼女に接する。 彼は週末にカラオケで歌うか、プリクラ(小さいステッカーのシート上に写真を印刷する撮影機)を撮るために彼女を連れだす。 私たちが一緒に過ごした数時間で、私は兄さんがレストランのボックス席(ブース)と彼の車の後部座席で垂直に音夢たんを保ち、かつ陰部(恥部)に触れないようにしながら、そっと彼女を置くのを見た。 ――― 兄さんは、仕事には彼女を連れて行かない。 しかし、テクニカル・サポートの仕事を遅くまでやらなければならない時のために、彼は机の引き出しの中に同じ音夢たんのカバーのついた予備のクッションを入れている。 「オフィスのイスで眠ってしまった時、重要なのです」 兄さんは音夢たんのカバーを合計で7つ持っている。 インターネットオークションやファンの集まり(訳注:同人即売会のこと?)で、良い値段で見つけるたびにそれを買うのだ(彼はオリジナルのために70ドル支払った)。 もしカバーが使い過ぎにより色あせたり汚れたりしたら、彼はその上に新しいカバーを重ねる。 私が最初に兄さんと音夢たんに会ったとき、彼は新しいカバーをバッグに入れていた。それは、彼女が写真を撮る際にきれいに見せる必要があるためだ。 ――― 大人がそのようにテレビゲームのキャラクターに取りつかれるのが奇妙なことだと彼は知っている。 しかし彼は音夢たんなしの人生を想像することができない。 「死ぬ時は、僕は僕の腕の中の彼女とともに埋葬されたいです」 兄さんは、架空のキャラクターとのリアルな関係にふける、日本の男女の盛んなサブカルチャーの一部だ。 これらの二次元愛好家とよばれる彼らは、オタク文化(ここ10年における、アニメ、漫画、ゲームの執拗なファンたち)の一部である。 オタクの一部が二次元愛好家であることを厳密にいうことは不可能である。なぜなら二つの間の区別がぼやける可能性があるからだ。 ほとんどのオタクや二次元愛好家の大多数は、働きに行き、家賃を支払い、友達づき合いをしている(中には結婚している人もいる)。 もっともほとんどのオタクは彼らのおもちゃに対して本当にロマンチックな気持ちを持っており、アニメキャラクターフィギュアのコレクションを隠しているかもしれない。 兄さんのような、より真剣な二次元愛好家は、アニメのキャラクターが描かれた枕が恋人であると実際に信じている。 この現象を研究するたくさんの人によれば、二次元愛の高まりは、多くの若い日本人が現代の恋愛生活を送るのが難しくなっているからと考えることができる。 政府調査によると、30〜34歳までの男女の4分の1以上が童貞(または処女)だ。そして日本の男女の50%には異性の友達がいない。 昨年、日本の最大のベストセラーのひとつは「30歳以上のための保健体育」だった。 これは漫画イラスト入りで、最初の出会いからセッ◯スまでの6つの章で構成され、読者が結婚をつかむためのガイドブックである。 |
……訳(1ページ目のみ)は以上ですが、いかがなものでしょう。
特に、
政府調査によると、30〜34歳までの男女の4分の1以上が童貞(または処女)だ。そして日本の男女の50%には異性の友達がいない。 |
こことか「本当かよ」と言いたくなりますが、どうなんでしょうね。
それにしてもずいぶんとオタク文化もグローバルなものになったんだなーと思います。
この記事について色々と論じるだけの知識は持ち合わせていないのでこのへんで終わろうと思いますが、とりあえずニューヨークタイムズには「そっとしといてくれ」と言ってやりたいです。
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