【2013年6月14日】
今月の新テニプリの見どころは「引き裂かれたパスポート」「ラッキーのムチャぶり」「I love tennis」の3本です。
2ヶ月ぶりにテニプリレビューのお時間がやって参りました。毎月当たり前にあるものが休載するとやたら長く感じますね……。
ということでまずは現状をさらっとおさらいしておきましょうか。
新テニスの王子様は現在、高校生の海外選抜組と中学生チームがレギュラー入れ替えを賭けた団体戦のまっただ中。ダブルス2試合、シングルス2試合が終了し、中学生チームの1勝3敗となっています。
……どうでもいいのですが、上記のように負けた方のペアをグレーで表現されると、
テニプリの場合わりとシャレにならない空気が漂いますね。通常、テニスで人は死なないはずなのですが、
テニプリではむしろ相手を再起不能にするのが正当な勝ち方みたいなところがありますからね。
さて、そんな感じで1勝3敗と後がなくなってしまった中学生チーム。絶対に負けられない戦いに今月号から挑むのが、
元山吹中テニス部の
"怪物"亜久津と、立海大付属の
"皇帝"真田ペア。……テニプリに詳しくない方のために解説しておくと、亜久津は猛者ぞろいのテニプリの中でも特に異端児として知られる男で、簡単にいうと
ガチの不良です。一方の真田は全国トップレベルの立海大付属のナンバー2という実力者で、こちらは
風紀委員のような性格をしています。
つまり、どう考えても水と油な二人なのですが、だからこそ面白い展開が期待できるというもの。
さぁ、試合はどうなるのか……と思いきや、
物語はここで、亜久津の回想シーンへと移ります。
そういえば、すっかり忘れていたのですが、亜久津は都大会の決勝でリョーマに敗れ、
燃え尽きてテニス部を退部していたのでした。
その亜久津がなぜまたテニスの世界へと戻ってきたのか。今月のテニプリでは
3話丸々使って、その理由が語られました。
回想シーン冒頭、亜久津はパスポートを受け取りに役所へとやってきます。これは、テニス部時代の顧問である伴爺からアメリカにテニス留学するよう勧められたから。
個人的には
亜久津が自分でパスポートを受け取りにきているというシチュエーションがもうすでに面白いのですが、それ以前にあの亜久津が素直に人の言うことを聞くなんて、人として成長したんだなぁ……と感慨にふけっていたところ、
パスポートを受け取るやいなや、
いきなりそれを引き裂く亜久津。
「何やってんだ」はこっちのセリフだよ。
やばい、最近すっかり「実は良い奴」みたいな評価が定着して忘れてたけど、そういえばこいつは
テニプリの中でもダントツの奇行種でした。
そして、そんな亜久津の奇行を、
「決められたレールは歩まない…!?」の一言でうまいことフォローする煽りのセンスが相変わらず光ってるなぁと思いました。
そんな感じで、本当はテニスがしたいのにそれを認められない亜久津はイライラ。
さらに、
小銭を自販機の下に落としてしまったり、荷物が置き引きにあったりと、不幸が重なってしまいます。
警察に届けるも、亜久津の態度が悪いために
逆に警戒される始末。
……あと、亜久津が携帯はともかくとして、
タブレットを持ち歩いているというのがわりと衝撃でした。何に使うんだろう……
電子書籍とか読んでたら最高に面白いシチュエーションなんだけど。
ともかく、そうやって不幸続きで荒れまくる亜久津の前に、一人の男が現れます。
亜久津の元チームメンバーである、山吹中の
"ラッキー千石"こと千石清純くん。テニプリ初期から登場している古参キャラで、「虎砲」や「ダンクスマッシュ」といった強力な技の他に
、「トスを絶対に外さない」という、今思うとすごく地味な設定がありました。……あの頃はまだ
そういうので驚くことができた時代だったんですね……。
そんなラッキー千石くん、明らかにテニスを続けたいのが見え見えなのに意地を張って「もう遅ぇーんだよっ!!」と投げやりになる亜久津に、こんな提案をします。
「空き缶をラケットで打って、三角屋根のゴミ箱に入れることができたら……キミはテニスを続ける。入れられなければ俺は黙って帰るよ。でももし本気でやらなかった場合は山吹中テニス部に戻ってもらう」
……なんかややこしい言い方をしていますが、要は
亜久津がテニスをやめるためには「本気で空き缶を打って、なおかつ外す」必要があるので、これを言い換えると
「ヘタならやめちまえ。でもうまいんだから続けろよ」と言っているわけですね、ラッキーさんは。
非常に現実的かつ情け容赦のない提案だと思いますよ、ええ。
で、この話に乗った亜久津は
当然のように一発で空き缶をゴミ箱に叩きこみ、晴れてテニスを続ける道を選ぶことになったのでした。……これ、
僕が亜久津の立場だったら間違いなく引退に追い込まれてますね……。
といったところで、今月はここまで。
まさか最初から最後まで亜久津で話が終わるとは思いませんでしたが、来月からは今度こそ待ちに待ったダブルスの試合が本格的にスタートするはず。
次号も楽しみです。
【オマケ】
最後のページ。
今月はホント、
煽りのセンスがすばらしいです。
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