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【2012年7月7日】

新テニプリが神展開! やはり許斐先生は天才か……




今月も新テニプリレビューのお時間がやって参りました。

まずは前回までのおさらいを。

海外選抜組と激しい戦いを繰り広げる跡部・仁王ペア(画像では手塚の姿をしていますが、仁王が特殊能力イリュージョンにより化けているだけなので誤解なきようお願いします)。

樺地の乱入や、まったく意味のなかったリョーマへのイリュージョンなどを経て、ついに跡部と仁王が同調(シンクロ)し、ついに勝負は跡部・仁王ペアのマッチポイントへ!

コートに倒れ伏す仁王の分の思いも込めて、跡部が超必殺技「氷の世界+跡部王国」を繰り出します。……初見の方は技の名前に違和感を持たれるかと思いますが、そういう仕様なので説明は省きます

ちょうかっこいい決めゼリフ

さて、跡部が放ったこの技、まるでレントゲンのような眼力により人間の骨格を見抜き、反応できない“絶対死角”へとボールを打ち込むという強烈な技なのですが……

これに対して海外選抜組がとった策は、


「関節のせいで届かないなら関節を外せばいいじゃない!

という非常に斬新な解決方法でした。

……ということでここから今月に入ります。


関節を外し、通常なら届かないところへと腕を伸ばしてボールを弾き返した海外選抜ペアの毛利先輩。

……ていうか、関節を外したらそもそも腕に力が入らないのでは……という素朴な疑問を抱いたのですが、それをこのクライマックスでいうと空気が読めない感じになってしまうので言わないことにします。

……まあ、ほら、関節を外した後、振り子みたいに腕を振ってボールに当てたとか、そういうことかもしれませんしね!

そんなこんなで毛利先輩が必死に返球したラストボールは、


なんと、ネットの上に!

一応説明しておくと、テニスではサーブ以外のボールに関してはネットに当たってから相手のコートに入っても特にペナルティはありません(サーブはやり直しになります)。

つまりこの場合、ネットを越えられずに毛利・越知ペア側のコートに落ちればその時点で毛利・越知ペアのミスになりますし、逆に跡部・仁王ペアのコートに落ちれば、そのまま試合続行となるわけです。

そしてボールは……

ネットをギリギリで越え、跡部・仁王ペアのコートに落下!

このまま跡部が打ち返せなければ、毛利・越知ペアの得点となり、「ツルスケだぜ!」と叫んでまで打った必殺技が攻略されてしまうわけですが、しかし跡部がいる位置はボールから離れており、届きそうにありません。

もうダメなのか!?

と、そのとき!



ネットのそばに倒れ伏していた仁王が、最後の力を振り絞ってボールを相手コートへと返球!

これが決定打となり、跡部・仁王ペアが死闘を制したのでした。

仁王が最後につぶやいた「これは……ダブルス…ぜ…よ」というセリフ、めちゃくちゃかっこよかったです。


ちょっとここでマジな話をさせていただくと、このダブルス、特に仁王が倒れてからの流れはまさに神展開と呼ぶにふさわしい熱い戦いだったと思います。

まず、倒れた仁王が相手の動きを“見る”ことで、それを同調(シンクロ)を通して跡部に伝え、跡部の“眼力(インサイト)”がパワーアップした……という流れは、“ダブルスでこの2人が組んだことの意味”をきっちりと読者に示しており、さらにそれによって一進一退の熱い展開が生まれました。

また、凡百の漫画家であれば先月の跡部の必殺技で試合を終わらせるところですが、許斐先生は仁王で決めるところにこだわりました。思えばこの試合で読者の予想を裏切り続けたのは常に仁王でした。許斐先生は仁王を最後まで伏兵として使いたかったのでしょう。それでいて跡部にもしっかりと見せ場を用意するなど、まさに隙のない脚本だったと思います。お見事です。


さて……敗北した毛利・越知ペアでしたが、本当に名勝負でした。

これなら海外選抜組も納得が――



ひいっ!!?

な、なんかボールが飛んできて、それを別の角度から飛んできたボールがはじき飛ばした!?


問答無用で味方を殺そうとしたのは、海外選抜組の遠野篤京。通称「コート上の処刑人」

そういえば昨年の11月の回で……。


金太郎に敗北した袴田先輩を、


狙撃したのもこの人でした。


負けたら即、死。……テニスはおそろしいスポーツです。


そして、そんな遠野先輩の狙撃玉を別のボールを飛ばして相殺したのは、

比嘉中のリーダーにして、「殺し屋」の異名を持つ木手永四郎でした。テニプリ、裏稼業の人間多すぎだろ! あとボールにボールを当てて相殺するのって地味に難易度高いと思う。

さて、処刑人と殺し屋が火花を散らしている間に、次の試合が始まりました。

対戦するのは、海外選抜ナンバー3の実力者、デューク渡邊と、四天宝寺中学3年の石田銀というパワー対決。

デューク渡邊先輩の実力は未知数ですが、石田銀さんはご存じ「師範」と呼ばれている実力者であり、かつて「ワシの波動球は百八式まであるぞ」という伝説のセリフでネットを震撼させたキャラとしても知られています。

いくら海外選抜組の実力が飛び抜けているとはいえ、石田師範なら良い勝負をしてくれるはず――。

何より、跡部・仁王ペアの戦いであれだけの名勝負を描いた許斐先生のことですから、今回もあっと驚く展開を用意してくれているに違いありません!


さあ、この二人の対決、どうなるのかな!?


(ページをめくる)




えっ?



……。



試合、2ページで終わっちゃいました



念のために書いておくと、



この赤い丸が銀師範です。



……さすが許斐先生、たしかにあっと驚く展開でした。

驚きのベクトルは予想とずいぶん違ってました
けど。


あと、テニスではたしかに「ホームラン」という言い回しがあるのですが、それはボールを思い切り打ち上げてしまってコート外に大きく出してしまうことであり、決して人間を空中にはじき飛ばすことではないという点は強調しておきたいと思います。

それにしてもこのシーン、

まるでラケットで直接相手を吹き飛ばしているように見えますが、そうではなく、あくまでデューク渡邊さんが打ったボールを打ち返そうとした銀師範が、ボールのあまりのパワーに負けて吹き飛ばされたわけですからね。

テニスはラケットで相手を直接殴る競技ではありません。あしからず。


……ということで、まさかの瞬殺を喰らってしまった銀師範の敗退により、中学生チームと海外選抜組みの対決はイーブンに。

次号からは、先ほどガンを飛ばし合っていた処刑人VS殺し屋の対決が始まります。こちらはたぶん一瞬で終わることはないと思いますので、引き続き追いかけていきたいと思います。



関連記事:問題「テニスで“人間の骨格的に絶対打てない場所”にボールが来たらどうする?」答え→



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