【2015年10月15日】
何百年も眠っていた天狗と封印を解いてしまった高校生――「天狗のしわざ」二人の主人公の出会いが漫画史上に残るかもしれない名シーンだった
こんにちは、マルコです。
いつものように本屋さんのBLコーナーを見ていたところ、
どうしても気になる帯を見つけてしまったので急いで買って参りました。
ご紹介しましょう。
カノンチヒロ先生の
「天狗のしわざ」です。
表紙には涼しい目元のイケメンとかわいい顔の男の子が描かれていて、どんな話なのかたいへん気になるところですが……
それよりもさらに気になるのがこの帯。
それなりに大きな本屋のそれなりに広めのBLコーナーで、この帯が真っ先に目に飛び込んできたのも、ご納得いただけるかと思います。
右のイラストも相当気になると思いますが、一旦そちらはおいておいて、帯のキャッチコピーをテキストで抜き出してみましょう。
「童貞男子、天狗で処女喪失!? ヘタレ半妖天狗×ウブな高校生のエッチ三昧な夏休み」
……
なんという情報量の多さ! 情報過多な現代社会に生きる僕でさえ、
「ちょっとキュレーションしてもらえないかな」と思いましたからね。
一つひとつ突っ込みたいところですが、「童貞が喪失、えっ、童貞じゃなくて処女の方を? どうやって……て、天狗!? えっ!? 天狗でどうやって? ていうかなんで天狗!?」みたいになって、早々にギブアップしました。
全部盛りのラーメンを食べ終わったと思ったらまだ下からチャーシューが出てきた、みたいなボリュームたっぷりの帯になっています。
麺(本編)を食べる前にすでにトッピング(帯)でお腹いっぱいになってしまいそうになりますが、
食欲と違っていくら食べても満腹にならないのがBLのすごいところ。
では裏表紙のあらすじをご紹介しましょう。
こちらが裏表紙です。
……帯に宣伝されている同時発売の新刊
「彼の両性具有妊娠期(マタニティ)」も気になりますが、今回はそちらはおいておきましょう。
「天狗のしわざ」のあらすじはこんな感じです。
ウブな高校生・ミドリの目標は、脱童貞。ところが、高校最後の夏休みを従兄の神社で過ごすハメに!! 退屈しのぎに見つけた天狗のお面でひとりエッチに励んでいると、封印されていた天狗・鴉(からす)が現れた!! けれど、出てきた表紙に鼻が折れて、神通力がなくなっちゃった!? 鼻を許に戻すため、二人で協力することになり!?
……あらすじも情報量たっぷりすぎる!
ということで、結局中身も読了。
それでは、皆さんが一番気になっているだろう
「天狗で処女喪失」の部分を詳しくご紹介しましょう。
あらすじにある通り、ミドリは18歳の童貞男子高校生。今年の夏こそは
「海行ってナンパして彼女作ってチョメチョメという計画をたてていた」のですが、都合により父親の実家である神社で一夏を過ごすことになります。
神社に着いたミドリは、うっかり棚から箱を落としてしまうのですが、その箱に入っていたのが天狗のお面でした。
※「天狗のしわざ」P17より
もし見つけたのが槍だったら
白面の者を倒す長い旅に出るはめになっていたところですが、幸いお面だったので平和的に話は進みます。
……といっても、本作がすごいのはここから。
天狗のお面を見たミドリは、つい
よからぬことを考えてしまいます。
※「天狗のしわざ」P18より
「そういえば…こういう天狗を使ったAVあったよな……男の人が天狗のお面をつけた女の人に後ろを掘られるというやつで……ちょっと興味あったんだよね…せっかく天狗見つけたし眠れないし――…」
……
童貞高校生のくせに見ているAVの内容がマニアックすぎるだろとか、
何が"せっかく"なのかとか、言いたいことは山ほどあるわけですが、ともかくミドリは
天狗のお面の鼻を自分のお尻に突っ込んでみることに。
そして、いい感じになったところで、まさかの出来事が起こります。
それが、こちらの帯にもなっているシーン。
そう、
お面の下に天狗が出現したのです。
もう一度言いますが、
お面でひとりエッチ→天狗出現の流れです。
この帯を見たとき、誰もが
「天狗の上にミドリがまたがった」のだと思ったでしょう。しかし、実は
お面を使ったひとりエッチが先にあり、後から急に天狗が姿を現したのです。
この流れだけで、
カノンチヒロ先生の発想力が尋常ではないことがわかっていただけるのではないでしょうか。
この天狗こそ、
何百年もお面に封印されていた妖怪・鴉(からす)でした。
封印を解かれた鴉ですが、出現した拍子に鼻が折れてしまい、そのせいで神通力を失ってしまいます。
鼻をもとに戻さなければ神通力も戻らない――そこで二人は協力することになるのです。
"協力"の内容はだいたい想像通りなわけですが、ここから先はぜひ皆さん自身でご覧ください。
冒頭の流れをご紹介しましたが、これでだいたい
1話分のあらすじとなります。……本作の濃さが伝わったでしょうか。
最後に、封印が解かれたときの天狗・鴉のセリフを紹介して終わりたいと思います。
※「天狗のしわざ」P28より
「鼻で秘部を感じたのは何年ぶりか…いや何百年ぶりか…?」
経験あるのかよ。
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