【2015年12月1日】
父親がBL本を買おうとしていた話
マルコです。
先日、今をときめくウェブライターでもあり、長年の友人でもある
ヨッピーさんが、こんな記事を書いていました。
『
両親に言いづらい「仕事」をカミングアウトしてきた』という記事です。
ヨッピーさんは僕と同じくウェブをメインにライターとして仕事をしており、現在
引っ張りだこの超売れっ子なのですが、何と今まで
仕事の内容を親に言ったことがなかったというのです。
そこで、母校での講演をきっかけに、親に自らの仕事をカミングアウトしよう……という記事。
とてもおもしろいので、ぜひ読んでみてください。
さて、ヨッピーさんのカミングアウト記事を読みながら、ふと思ったのが、
「そういえば自分はどうだったっけ」ということです。
記憶をたどっていったところ、
とある思い出がよみがえりましたので、今回はそのときの話を書こうと思います。
〜2007年〜
当サイトを昔からご覧の方ならご存知の通り、僕は約8年前からライターとして仕事をしています。
きっかけは、当サイトを見てくれていた某メディアの編集者からお誘いを受けたことでした。
ライターとして働き始めた一方で、カフェオレ・ライターで2005年頃から紹介していた
「BL帯」にある転機が訪れます。
宙出版の編集者の方から、
「『このBLがやばい!』というBLを紹介するムックを創刊することになったので、そこでBL帯レビューを書きませんか?」
という、まさかのお誘いを受けたのです。
BLが仕事になった瞬間でした。
そこから現在に至るまで、毎年『このBLがやばい!』にBL帯レビューを連載させていただいており、もはや自分の中では
BL帯レビューの依頼がくることで冬の訪れを知るレベルの恒例行事になっているわけですが、
ともかくBL帯の魅力を紹介できるという喜びはもちろん、カフェオレ・ライターのマルコとしてお仕事ができることにも大きな喜びを感じた僕は、それをまず弟と妹に報告しました。
そうしたら、弟と妹はとても喜んでくれたんですよね。
それでもう、僕は満足していたのですが……
それからしばらくたったある日のこと、実家に帰省していた弟と妹から電話が入りました。
開口一番、「大変なことになった」と慌てた口調の二人。
何があったというのでしょうか。
完全に予想外でした。
というか、
父親がBL本を買いに行くなんて誰が予想できるというのでしょうか。
うちの父親は機械ものはいまいち苦手なこともあってか、これまでインターネットで息子がいろいろやっていたことに興味を持たなかったので、
すっかり油断していました。
どうやら
弟妹→母→父というルートで伝言ゲームが進み、
「なんかよくわからんが、息子がBLとかいう本に文章を書いたらしい」という情報が伝わってしまったようです。それにしても、父親自ら買いに出るとは……。
やはり親世代にとって「紙の本」というのは、特別なことなのでしょうか。
……って、そんなこと言ってる場合じゃない!
「すぐに止めろ! 間にあわなくなっても知らんぞー!」とベジータもびっくりの勢いで弟妹に告げるも
時すでに遅し。
父親が本屋から帰宅したという一報が、母親から入ります。
あれ?
何も買ってこなかったという父親。
……実は、
地元の本屋で
「このBLがやばい!」を探していると告げるも……
たまたま地元の小さな本屋には入荷しておらず、入手できなかったのです。
いやいや! 完全に本の名前を言っちゃってるから!
さらに取り寄せのため
自らの身分を正確に告げてしまってるから!
まぁ別に親父がBLを読んだってぜんぜん構わないんだけど、
地元の本屋さんは普通に知り合いだから、めちゃくちゃびっくりしたと思うよ。
なお、取り寄せはしたものの、やはり父親は発売日に買いたかったようで、また別の大きめの本屋へ。
そこでも「このBLがやばいという本はあるかね」と
大声で尋ねようとしたところ、かけつけた妹が
阻止。代わりに購入して事なきを得たと聞いています。
――そんなこんなで、あれから
8年。
もうすっかり家族はBLの何たるかを理解し、時には
「この前の帯レビューのツッコミはちょっと甘いと思う」といった感想をくれるまでになりました。
そして僕はすっかり
"BL帯の人"と呼ばれるようになり、今年も宙出版さんから発売される
「このBLがやばい!2016」に最新の帯レビューを書かせていただいています。
12月12日発売でございます。
ぜひ手にとっていただけると幸いです。
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