【2016年9月6日】
【ワインBL】イケメンシャトーオーナーにしか許されない口説き文句にふるえろ!
告白します。
いや、告白ってほどのものではないのですが。
1年くらい前に
「国産ワインのラベルを見くらべてみるとおもしろい」という記事でも書いたのですが、ここ数年ですね、
ワインにハマっておりまして、それはもう
原稿料のほとんどを費やして飲みまくっているといっても過言ではありません。
さらに、もともと凝り性なこともあり、いろいろ本など読んでワインの勉強もしているところなのですが……
そんな折、こんな
BL本を見つけてしまいました。
『あまやかな指先』 著者/御堂なな子
です。
もう表紙のイラストでだいたいわかると思いますが、
ワインをテーマにしたBLです。
BLにしてワイン!
これはもう、
僕のために書かれた小説といっても過言ではありませんよね。
もう見つけた日は嬉しすぎて
思わずスパークリングワインを開けてお祝いしてしまいましたが、いったいどんなお話なのでしょうか。
まさか
ぶどうの品種による擬人化BLとか、
ワイン×グラスの擬人化BLとか、そういうカロリー高めなやつ?
……なんてことはもちろんなく、帯にあらすじが書いてありました。
蔵元の跡取り・春哉が研修先のフランスで出会ったシャトーオーナーの葛城。二人は次第に惹かれあうが春哉は帰国しなくてならず…。
ということで、
「フランスのシャトーオーナー×日本酒の蔵元の跡取り」というカップリングでした。酒好きならもはやこの本を肴に一杯やれそうな組み合わせですね。
あ、「シャトー」っていうのはワインを作っている会社みたいなものです。
ちなみに、
右側のイケメンがシャトーオーナーで、左側のイケメンが日本酒の蔵元跡取りです。
春哉くんもなかなかの高スペックぶりですが、もっとすごいのは
シャトーオーナーの葛城さん。
「イケメン」「高身長」「人格者」「ソムリエの資格持ち」「5ヶ国語ペラペラ」「前オーナーに気に入られてシャトーを譲り受けたほどの実力者」という感じで、もはや
高スペックの玉手箱みたいなことになっています。
こんなのが高級ワイン片手に、
「ワインはゆっくり楽しめるけど、君とのキスは、待てないからね」
とか言いながら迫ってくるんですよ!
お前ぜったいそのセリフ、
今まで1000回は使ってきただろ!
……まぁ、セリフ自体は普通に使う人いそうだけど、シャトーオーナーが言うと
重みが違う。ずるすぎる。
それはともかく、本編ではそんなパーフェクトヒューマン葛城にとって予想外の事態がいきなり発生します。
「みんな蔵元のプライドはないのか。世界中で一番うまいのは日本酒だろ。ワインなんか邪道だ、邪道」
P6より
「ワインは苦手だ……。臭くて渋くて、飲んでもおいしいと思ったこと一度もない」
P8より
なんと、日本酒蔵元の春哉くんは
ワインが死ぬほど苦手。
じゃあなんでお前フランスまで研修に来たんやと言いたくなりますが、そこらへんの事情は本を読んでください。
あと、ワイン勉強中の身としましては、「何かワインの描写におかしなところはないか!?」とすっかり
ワイン警察と化しながら読んでしまったのですが、
「これがセミヨンの葡萄だよ。早世の品種だから、もうだいぶ熟れてきているね」
「種無し葡萄みたい。小さい実なんですね」
「小粒でも、甘みはとても強いんだ。醸造する時は他の品種の葡萄を混ぜて、酸味を加えているんだよ」
(中略)
「この実があの蜂蜜みたいな貴腐ワインになるんだ……」
「丘陵地という土地柄と、川からやってくる霧と、目に見えない菌が織り成す、貴腐ワインは自然の奇跡だよ。私たちワインの造り手(ヴィニュロン)は、その恵みをありがたく受け取っているんだ」
P38-39より
とか、
春哉が一日がかりで摘んだセミヨンが、実と茎を分ける除梗機へとコンベアーで運ばれていく。その後、実だけがプレス機にかけられて、新鮮な絞り汁が大きなタンクに貯蔵されるのだ。
「春哉、見てごらん。こちらの発酵タンクは、仕込んで三日目の若いワインだよ。ボルドーでは『ブリュ』と言うんだ」
P134より
……普通に勉強になりました。生意気いって大変申し訳ございませんでした。
そんなわけで、ワイン好きなら間違いなく楽しめる『あまやかな指先』、ぜひ一杯飲みながら読んでみてはいかがでしょうか。
本日はこのへんで。
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