【2016年10月19日】
本の魅力を200%引き出す驚異の日本語テクニック「BL帯」の世界をごらんください
お久しぶりの更新になってしまいました。
ここのところ、朝9時から夜9時まで仕事という会社員のような生活をしているせいで更新できないんです〜……と言い訳したところで、
会社員時代は実際にそういう生活しながら記事も書いていたことに気づいてしまいましたので、じゃあ
歳のせいということでお願いします。
ということで、今回はしばらくぶりにイケてる
BL帯を紹介したいと思いますよ。
買ったはいいものの、紹介できずに積んであった中から4作品ピックアップします!
ちなみに
「BL帯って何?」という方のために簡単に説明しておくと、
「ボーイズラブ」というジャンルの本に巻かれている、
「帯」のことです!
……何の説明にもなっていませんが、とりあえず百聞は一見にしかずということで、こちらの帯からご覧ください。
そういうことです。
なぜ僕がBL帯を収集しているのかが完璧に伝わったところで、
こちらの帯は木原音瀬先生の小説
「LOVE&CATCH」。
イラストは彩景でりこ先生という豪華な一冊となっています。
……が、それよりもまず目に入ってくるのは、やはり
「ハゲLOVE!?」ですよね。
これが男女の恋愛ものでしたら、将来に不安を抱える僕や皆さんとしても
「許されたのかな?」と歓喜するところですが、本作はBL。喜んでいいのかどうか、
非常に微妙なところです。
カップリングとしては、帯の上側にあります通り
「48歳社長ハゲ(パンチ)×23歳会社員」です。
おじさんが登場するBLはもはや珍しくありませんが、これほど
髪にフィーチャーしたBLはあまり見ない気もします。
あと、彩景でりこ先生のポップでかわいいイラストでごまかされそうになりますが、
取れかけのパンチパーマのカツラから見える頭皮にイケメンが優しくキスをしているという構図がめちゃくちゃ攻めていてすばらしいと思います。
なお、表紙をめくると
生まれたままの頭皮で横たわる社長のイラストが拝めますので、ぜひチェックしてみてくださいね。
さて、続いての作品をご紹介しましょう。
どこから触れたらいいですかね。
……いろいろ言いたいことはあろうかと思いますが、まずタイトルの
「妊夫」がなかなかのパンチ力。
BLならではの造語かと思いきや、Google日本語入力だと
普通に変換候補として出てくるので、現代では
わりと一般的な単語なのかもしれませんね。
ちなみに、言うまでもありませんが、妊夫というのは
妊娠した男性のことです。
これにツッコミを入れるのは、ファンタジー漫画を読んで「女の子の戦士がデカい斧を振り回す」のにツッコむようなものなのでご注意ください。
こちらの帯も最高ですよね。何がいいって
「太いお注射……してください。」からの
「ガチムチ受け」という今どき珍しいくらいストレートなキャッチコピー。
凝った比喩やテクニカルな見せ方が増えている中、
すくすく育つ若木のような帯は、まるで
気取らないおふくろの味のような安心感を与えてくれます。
「ほーいいじゃないか。こういうのでいいんだよ、こういうので」と孤独のグルメばりにつぶやいた方も多いのではないでしょうか。
「ぼくの可愛い妊夫さま」の著者である七川琴先生、イラストのミニワ先生、さすがでございます。
続きまして3冊目。
こちらの注目ポイントはもう、
「まさかの妊娠!?」というところに尽きますよね。
先ほど、妊娠にはツッコむなかれと言いましたが、とはいえ
「普通の男子高校生」が妊娠するのはたしかに「まさか」なわけでして、非常に正しい表現だと思います。
余談ですが、最近のインターネットではこの
「まさか」という単語が手軽に使われすぎているとつねづね感じておりまして、僕自身もすぐ「まさかの○○!」みたいに言ったりするのですが、
そんなもんこの帯に比べたらぜんぜん「まさか」ではなかったなと反省しました。
なお、こちらの「少年は神の子を宿す」は夜光花先生の「少年神」シリーズ(イラスト:奈良千春先生)の一冊ですので、買われる場合はぜひ一冊目からどうぞ。
ということで4冊目にいきましょう。
はい。
英国貴族宅に住み込みで働くことになった主人公と、20代で爵位を継いだ大金持ちのイケメンによるラブストーリーなわけですが、
「メイド服が似合うのだから、ウェディングドレスもきっと似合うよ」
という
強引すぎる口説き文句に僕の方がやられて買ってしまいました。
「メイド服が似合うならウェディングドレスも似合うはず」とか言い出したら、
それもう「メイド服」のところ女性の服なら何でもよくないですか?
……と思ったりもしましたが、まぁ言われてみればメイド服はウェディングドレスにシルエットが似てなくもない……のかな。
ともあれ、かなりグッとくるプロポーズの言葉かと思いますので、ぜひ皆様もお使いください。
そもそも
相手にメイド服を着てもらうのがプロポーズよりも難しい気はしますけども。
こちらの「侯爵とメイド花嫁」は伊郷ルウ先生(イラスト:陵クミコ先生)の作品となっております。
以上、本日のBL帯のご紹介でした。
読書の秋にぜひどうぞ!
【前の記事】BLコミック「センセイ・コレクション」に登場する"先生"が予想外すぎる
【次の記事】BLの「魔王」に共通する"ある要素"はどこからきたものなのか