【2017年12月22日】
科学雑誌「Newton」とオカルト雑誌「ムー」がまさかのネタかぶり! 実際の内容はどうだったのか
マルコです。
まずは何も言わずにこちらの写真をご覧ください。
科学雑誌
「Newton」と、オカルト雑誌
「ムー」です。
雑誌の方向性はまったくの正反対。
これまでは水と油、あるいは光と闇のように、けっして交わることのない存在だと思われていました(といいつつ両方を愛読している人もけっこういそう)。
そんなNewtonとムーの
2017年12月号において、
見過ごすことのできない事件が起きていたことをご存知でしょうか。
もう一度、よくご覧ください。
そうです。
まさかのネタかぶり!
Newtonとムーがまったく同じタイミングで同じネタを扱うのってけっこうレアな出来事なのではないでしょうか。
取り上げているのは、どちらも
「マルチバース宇宙論」。
果たしてこれは、“科学っぽいオカルト”なのか、“オカルトっぽい科学”なのか……どんなふうに解説されているのか気になったので読んでみました。
そもそもマルチバース宇宙論とはなんでしょうか。
138億年前の宇宙誕生時におきたといわれる宇宙の急膨張「インフレーション」。
(中略)
このインフレーション理論からみちびかれ、従来の常識を根底からくつがえす革命的な宇宙観が注目を集めています。
(中略)
「マルチバース宇宙論」です。
※Newton2017年12月号 P36より
宇宙の
インフレーションという現象については聞いたことがあるという人も多いでしょう。僕たちが住むこの宇宙は誕生したときから急速に膨張し続けている、という理論で、マルチバース宇宙論はこのインフレーションをもとにした
「宇宙は一つではなく、無数に存在する」という仮説です。
この仮説自体はけっこう昔からあったように記憶していますが、先日、
アメリカの研究者がこの理論の裏付けになりそうな研究成果を発表しノーベル物理学賞を受賞したことから、あらためて注目を集めているというわけです。
Newtonとムーがまったく同じタイミングでネタかぶりした理由は、たぶんノーベル物理学賞のタイミングに合わせて記事を出したからでしょう。
こうなると、次に気になるのはこのマルチバース宇宙論を両雑誌がそれぞれどんなふうに紹介しているのか、ですよね。
ということで読んでみました。
※Newton
Newtonは大きなイラストを使いながら、あまりこうした話に詳しくない僕にもよくわかるよう、基礎の基礎から丁寧に解説してくれています。マルチバース宇宙論の前提として知っておかないといけない「インフレーション」や「量子論」についても解説が入っているので、つまずくポイントがなく、するすると頭に入ってきます。
全体としては「マルチバース宇宙論はまだまだ未確定なことばかりだけど、今考えられている内容はこんなにすごいものなんだよ」という論調です。
※ムー
一方のムーですが、こちらも読みやすくものすごく丁寧にマルチバース宇宙論について解説してくれています。ムーというと荒唐無稽なイメージがあるかもしれませんが、
ムーなりにきっちり理屈は通してくるので毎回謎の説得力があります。今回もその筆力が存分に生きているという印象です。
そんなことを思いながらNewtonとムーを交互に読んでいたのですが、
最後の最後で大きな違いが。
Newtonが、
ダークマター、高次元空間、マルチバースと、私たちの常識からすれば簡単には受け入れがたいものばかりだと思います。
(中略)
科学に“革命”がおきて、これらの考え方がごくあたりまえの常識になるまでに、そう時間はかからないのかもしれません。
Newton2017年12月号 P49より
と無難に締めくくっているのに対して、ムーは
パラレルワールド――もはやそれは、空想世界における夢物語ではない
(中略)
すでに、パラレルワールドはどこにあるのかが問題ではなくなった。いつ見つかるかという問題になったのだ。
ムー2017年12月号 P33より
こんな感じで締めくくりに入ると見せかけて……
そして、パラレルワールドの存在が確実になった今、もうひとつの問題が静かに浮かび上がってくる。それは、パラレルワールドと超常現象の関係だ。
ムー2017年12月号 P33より
一気に
大ジャンプ!
「静かに浮かび上がってくる」というよりも、
ムーが手を突っ込んで強引に引っ張り上げた感は否めませんが、これぞムー。オカルト誌としての本領発揮です。
さらにその後も、
たとえばポルターガイスト。
(中略)
これまでは霊界からの通信手段のひとつかもしれないと考えられてきた。しかし、パラレルワールドが存在すると仮定すれば、それらの不思議な現象の多くは物理学的に説明が可能だ。
ムー2017年12月号 P34より
超ひも理論によれば、宇宙は誕生と同時に、無数に枝分かれしていく。
(中略)
ごく稀な条件のもとでは、星や銀河が生まれないまま安定する不思議な宇宙が誕生する。
(中略)
その宇宙こそ、わたしたちがこれまで<霊界>とか<あの世>と呼んでいた世界の正体である。
ムー2017年12月号 P35より
と
言いたい放題。
すごく生き生きしています。
やっぱり
ムーといえばこうじゃないとですね!
……そんな感じで今回、奇跡的なネタかぶりを見せたNewtonとムー。最新の2018年1月号ではどうなっているのか気になる方もいると思うので、両方の内容をご紹介しておきます。
【Newton】
「ゼロからわかる人工知能」
「宇宙で惑星はどう生まれるのか」
「日本列島 成り立ちの秘密に迫る」
【ムー】
「2018年聖書大予言『第3次世界大戦』勃発!!」
「帰ってきたジョン・タイター」
「UFO墜落アズテック事件の謎」
……ということで、どうやらどちらも
平常運転に戻っているようです。
マルチバース宇宙論でまさかの邂逅を果たしたNewtonとムー。
次に二つの雑誌が相まみえるのはいつになるでしょうか。その日を楽しみに待ちたいと思います。
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