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マルコ【2009年6月9日】
剣と愛に人生を賭けた男たちの漫画「柳生非情剣 SAMON」を、主に尻を中心にレビューする
新潮社の方からこんなメールをいただきました。
はじめまして。 (中略) 今回ご連絡させていただいたのは、弊社から出版する歴史もの漫画、「柳生非情剣 SAMON」をぜひ、マルコ様に献本させていただきたいためです。 |
突然の申し出に戸惑う僕。本をいただくのはありがたいのですけど、いったいどんな本なのかがさっぱりわかりません。
と思ったらメールの続きに本の内容がありました。
本作は、『花の慶次―雲のかなたに―』の隆慶一郎の『柳生非情剣』を原作に、 『アクメツ』『コミックマスターJ』で熱狂的なファンを有する田畑由秋・余湖裕輝コンビが 新しい解釈で描いた歴史群像劇となっております。 |
なるほど……。つまりうちでレビューを、ということでしょうか。
「花の慶次」は僕も大好きですけど、でもうちのような漫画専門ではないレビューサイトにどうしてこのお話が?
類稀なる美貌と天下無双の剣の才を持った柳生家次男・左門と 将軍・徳川家光の禁断の同性愛関係を軸に、 柳生の男達の相克とその鮮やかな生き様を迫力満点に描いた渾身の一作です!! |
……ああ。
ということでなぜ僕に話がきたのかがわかったところで、こちらが表紙。
なるほど。綺麗な絵だとは思いますけど、でも何となくインパクトに欠けるというか、まだサイトで取り上げるためのネタとしていまいち弱いというか……。
と、思っていたのですが、裏表紙の帯を見て考えが変わりました。
尻一つで十三万石だとぉっ!!
これは……なんていうか……すみません読みたいです……。
やられた。完全にしてやられた。
帯に印刷されているということは、たぶんこの「尻一つで十三万石だとぉっ!!」というセリフがこの作品の一番のアピールポイントなのだと思いますけど、だとしたら新潮社のスタッフは読者のツボをよくわかっていらっしゃると言わざるを得ません。……読者のツボというかそれは主に僕のツボなわけですけど。
さて、そんなわけで本作の舞台は江戸時代。
徳川家の剣術指南役という立場を表の世界での隠れ蓑に、裏では暗殺や謀略など徳川家の陰の仕事を受け持っていた柳生一族の次男、美剣士・柳生左門と、三代将軍徳川家光のあんなことやこんなことがメインとなってお話が進んでいくわけですが、そもそもの始まりは、家光が剣術稽古の相手として左門を指名したことでした。
自らの腕に自信を持っていた家光でしたが、稽古を通して左門の実力を目の当たりにし、そしてそれはいつしか愛へと変わっていったのでした。
……ここで愛に変わらなければごく普通の歴史漫画としての道もあったのではないかと思うのですが、そうはいっても変わってしまったものは仕方ありません。
では、いちおう二人の関係が急展開したきっかけになったっぽいシーンもご紹介しておきましょうか。
「左門 余を打て お前の真の剣で」
……なんか別にこれ自体は稽古中の一場面なので全然変なセリフでも何でもないはずなのですが、あらすじを知ってしまった今、色々とうがった見方をしてしまいそうになるのは僕だけではないと信じたいです。
その後も左門を気に入った家光は何かと目をかけ可愛がるのですが、あまりにもわかりやすい態度だったのか、それとも隠そうともしなかったのか、二人の仲はもはや城中でもバレバレで、左門は嫉妬と羨望の的になってしまったのでした。
中でも特に危機感を抱いていたのは、左門の父親にして柳生一族のボス・宗矩(むねのり)。悲願であった柳生一門の復興を成し遂げ、一万石を超えて大名の地位にまで上りつめた宗矩にとって、家光の寵愛を受けあっという間に二千石を手に入れた左門は、
尻一つですべてを手に入れた柳生一門の恥さらしであり、許せない存在になっていたのでした。
……いやー。この親父さんのイイ顔をご紹介できただけで僕はもう満足したのですが、せっかくなのでもうちょっとだけ見ていくことにしましょう。
柳生の恥さらし尻門……じゃなかった、左門ですが、とにかく何とかして彼を家光から離さなければと考えた宗矩とその息子・十兵衞は、何だかんだ理由をつけて左門を田舎へ無理やり隠居させることにします。
「離れても気持は変わらない」と、この命令を素直に受けた左門でしたが、一方の家光は納得がいきません。
色々考えた結果、家光が出した結論は、当時彼が始めた参勤交代という制度を使って、左門を江戸へ呼び寄せるという口実でした。
そしてそのために必要とされる十三万石という破格の地位を、家光は左門にあっさりと与えたのです。
これには宗矩も死ぬほどショックを受けてしまいます。
自分はこれまで死ぬほど努力して、そしてやっと得たのが大名として最低限である一万石……。
それが、
それが左門は、
本当にこの人、イイ顔するなあ……。
なんかもう、親父さんのファンになってしまいそうなんですが、確かにこれはショックだろうなと思います。思いますが仕方ない……結局のところ、いつの時代もイケメンが勝つというのが世の真理なのではないでしょうか。ドンマイ親父!
そして激怒した宗矩は、左門の兄である十兵衞にある指令を出します。
「左門を抹殺せよ!」
もともと柳生一門の裏の仕事を担ってきた十兵衞は喜々としてこれを承知。歴史にその名を残す剣豪・十兵衞と、天才美剣士・左門の仁義なき兄弟対決の行方は……!
――ということで、その衝撃の結末はどうぞ本日6月9日発売の本編にてご覧くださいね!
こうやって宣伝しておけば、きっと新潮社の方もこの尻レビューを許してくれるんじゃないかな……という姑息な意図を丸出しにしたところで、今回のレビューを終わりたいと思います。
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